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Date Posted: 18:36:30 12/09/20 Wed
Author: andreamarrer
Subject: 甲斐から聞いたのだろうか

甲斐から聞いたのだろうか。いや、甲斐が私の承諾なしに勝手に母に話すはずがない。「この間、あの人から連絡が来たのよ」「え……お父さんから?」「絶対あの人からの電話には出ないつもりだったのに、迂闊だったわ」母は溜め息交じりに話しながらも、そこまでの嫌悪感を示してはいないようだった。custom packaging vendors 、依織が会いに来たことが相当嬉しかったみたい。終始、依織の話をしてたわ。大切な彼氏が出来たらしいとか、以前会ったときよりも更に綺麗になったとか。もう、聞いてて耳が痛くなるくらい」まさか父が母に連絡していたとは知らず、私は驚きを隠せなかった。「あの人、うるさかったでしょ」「うん……ずっと喋ってた」「別れても、あの人にとって自分の娘は依織だけだから……可愛くて仕方ないんでしょうね」父が私を溺愛していることは、会う度に感じていることだ。もう二度と会いたくないと思ったこともあったけれど、会う度にあんな嬉しそうにされると、また会ってあげてもいいかもしれないと思ってしまう。「結婚のことをいろいろ考えたときにね、お父さんの話を聞いてみたいと思ったの。今まで、ちゃんとそういう話聞いたことなかったから」多分私は、父に背中を押してほしかったのだと思う。だから結婚に対して否定的な母には、意見を求めなかったのだ。「話し始めたら、ほとんど脱線してたけどね。ちなみに、再婚はしてないって。相変わらず女性関係はだらしないみたいだから、喝入れといた」「本当、変わってないわね。私も結婚前にあの人の女癖の悪さに気付いてれば良かったわ」クスクスと笑う母を見ていると、心がホッと落ち着く。もう、母の悲しい顔は見たくない。こうやって父のことで笑い合える日が来るなんて、昔の私は少しも期待していなかった。時間の流れは、少しずつ憎しみや悲しみといった負の感情を溶かしていくのかもしれない。今まで苦しんできた母のためにも、私は甲斐と幸せになるのだと強く心に誓った。「電話を切る直前、あの人に言われたの。依織を産んでくれて、ありがとうって」「え……」「あの人から、ありがとうなんて言葉が出てきたことには驚いたけど……それを聞いた瞬間、思ったのよ。結局離婚してしまったけど、結婚したこと自体は悪いことじゃなかったのかもしれないって。……確かに沢山傷付いたけど、同じくらい幸せも感じてたなって」五人分のコーヒーをカップに注ぎ終えた母は、カップを乗せたトレーを手にして、私を見た。「私は、依織が笑っていてくれるならそれでいいのよ。今、甲斐くんといて最高に幸せなんでしょ?」私は迷うことなく頷いた。「それなら、良かった。じゃあ、向こうで皆でコーヒーでも飲みましょ」「お母さん。……ありがとう」今にも泣き出しそうな私に、母は柔らかな笑顔を見せた。母のようにはなりたくないと思い続けていた自分は、今はもういない。その笑顔は誰より素敵で、眩しかった。甲斐が買ってきてくれた手土産とコーヒーを家族皆で楽しみ、夕方頃になってようやく私と甲斐は実家を出た。
車に乗り込み、甲斐の運転で家への道を走り出す。助手席に座った私は、異常に体力を使い果たし疲れていた。「何か予定よりも滞在時間凄く長くなっちゃったね。甲斐、疲れたでしょ?」「いや、全然。七瀬の実家、落ち着くし。でも、じいちゃんと翼のテンションやけに高かったよな」「私が甲斐と結婚することが、相当嬉しかったんだと思う」翼と祖父は帰ろうとする私と甲斐を何度も呼び止め、結局最後は押し切って半ば強引に出てきてしまった。「じいちゃんなんか、結婚したら家を二世帯にリフォームして一緒にここに住めばいいって言ってたしな」「絶対嫌!うるさく干渉されるに決まってるもん」「俺は別に楽しそうだからいいけど。あ、でも七瀬とイチャイチャしてるときに邪魔されそうだからやっぱ嫌かも」

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